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確定申告で「住民税に関する事項」を間違えた時

母が痛恨のミスをしてしまった。

 

令和4年(2022年)分の確定申告(2023年3月期限)まで認められていた、いわゆる申告不要制度。

上場株式等の配当や譲渡所得について、所得税と住民税で異なる申告方法を選択できた制度だ。

 

手続きは、「確定申告の住民税・事業税に関する事項」に〇をつけるだけ。

 

令和3年分までもこの制度を利用していた母。

令和4年は、税務署に書類を持って行って、税務署内で係の人に書き込んでもらったのだ。

 

ところが、住民税の通知や国民健康保険の通知が来てびっくり。

めちゃくちゃ上がっていた、そう。

調べたら、この「〇」がついておらず、配当金等が住民税に反映されてしまったのではないか、と。

しめて15万くらいアップとなり、さらに、国保の窓口負担も3割になってしまったそうだ。

 

私に相談されて、調べてみるとやはりそうだった。

母が住む自治体の場合、同年度内に損益通算できれば、その年の利益は住民税を計算する所得のカウントに入らない。

しかし、過年度の損失を今年度の利益と相殺する繰越控除は国税所得税)を計算する所得のカウントには入らないが、住民税を計算する所得のカウントに入る。

 

ややこしいが、繰越控除は国税には有効なので、令和4年度の配当に対する税金は繰越控除のおかげでゼロになった。

しかし住民税にはカウントされてしまうということだ。

住民税を計算する所得のカウントに入ると、それが国保介護保険料にも反映されてしまって、大きな傷となる。

 

例)1年目 マイナス100万、2年目 プラス30万の時

1年目は、所得税は損益通算でゼロ、住民税の計算に使う所得もゼロ

2年目は、所得税は繰越控除でゼロ、住民税の計算に使う所得には30万がカウントされる

 

 

私はまず、確定申告の更生の請求(確定申告を修正する)ですぐ終わる、と思った。

ところが調べると、更生の請求は国税に関することなので、国税の変更がない場合、税務署の管轄ではないそうだ。(この〇の有無は住民税にしか関係ない。)

 

さらに、金額に関する修正を認めるだけで、申告する、申告しない、の選択を変更するためには使えないとのこと。

これには法的根拠があり、国税庁の解説を読んでみた。

www.nta.go.jp

この解説で根拠とされている租税特別措置法には住民税が含まれる。

しかし、この根拠の条文(第8条の5の1項、2項)は所得税の話である。

 

それでも多分ダメだろうなという思いで、役所へ一人で行ってきた。

結果、やっぱりだめ。

根拠は言われなかったが、この「〇」を変更するのはできないとのこと。

ただ、住民税の通知が来る前だったら変更できた、ということだ。

 

帰宅してから調べると、この法的根拠が見つかった。

平成15年に「上場株式等に係る配当所得等」に関する地方税法の関係規定が創設され、平成17年度以降は、市民税・都民税の納税通知書送達後に「上場株式等に係る配当所得等」に関し、申告書が提出された場合は、上場株式等に係る配当所得等を市民税・都民税の税額算定に算入できないこととされました、ということらしい。

 

ということはその逆もしかりで、納税通知書送達後に、やっぱ申告取り下げます、といっても無理ということだ。

平成17年以降も多くの自治体で改正前の方法で計算していたというミスがあり、上記の文面が複数の自治体のHPでアップされていた。

 

まとめると、

住民税に関する事項を間違えた時にどうするか?

 

確定申告期限前のとき「訂正申告」で修正した確定申告を出しなおす。

確定進行期限後のとき、所得税にも影響のある変更だったら「更生の請求」を税務署に提出し、後は市町村にそのまま自動で連絡される。

確定進行期限後のとき、所得税に影響のない変更だったら住民税の通知が来る前(実家の自治体は6月上旬)に市町村役場に相談に行く。

 

 

〇のつけ忘れで15万以上の損。

ああもったいない。

親がやる重要な手続きは見てあげないとな。